私には楽しみ・生き甲斐が2つある。1つは野菜
づくり、もう1つは太極拳。
野菜づくりはすでに半世紀を超えている。職業
としてやっているわけではない。趣味でもない。
言うならば、“道楽”、“道喜”と言うのが適切かも
知れない。野菜づくりに“道”がある。のかと言わ
れれば、あると言いたい。原理・原則がある。
そして、楽しみ、喜びがある。とにかく、野菜の
顔?を見ていると楽しい。ほとんど毎日眺めてい
る。農家の人を百姓と言うが、野菜を百種類作っ
てみようと励んだことがある。作っては見たが、
中身は薄くなった。野菜に申し訳なく思った。
やはり、頃合いと言うものがある。
太極拳については、今から30年数年前から
始めた。町の体育館で夜間週1回中国人の先生が
教えてくれると言うので参加した。はじめは、
歩法、その次は24式。やってるうちに偶然にも
陳式を目にした。それまで見てきた太極拳とは明
らかに動きが違っていた。それで、その先生に
陳式を教えてくれるように頼み、始めることにし
た。しかし、勤務地が変わり、仕事も忙しくな
り、程なく止めてしまった。
それから、数十年、退職して自由になる時間が
できた。初めはスポーツジムで太極拳を受講し
た。数年やっているうち、またまた、陳式を習い
たくなった。でも、なかなかこの周辺で陳式を教
えてくれる所は見つからなかった。ネットで探し
ていたら、偶然、七星さんのブログが目に留まっ
た。場所は竹園、中国人の若い修先生という人が
教えていると言う。相当すごい先生のようである。
早速、その週の土曜日に妻とともに練習を見学
し、即、教室に入ることとした。初めのうちは、
基本功をやるだけで次の日には、筋肉痛がひど
かった。慣れるうちにそれは治まっていった。
でも、60過ぎの老人が“ぽっと”始めたのでは、
他の生徒さんのようにはうまくいかない。
とでも追いつかない。周回遅れの状態である。
それでも、ほとんど休むことなく教室に通った。
自分で疑問に思ったことは、できる限り修先生
に尋ねることにした。修先生、見事に詳しく、
しかも動作を交えて教えてくれる。まさに、
“手取り足取り”である。さらに、腰や肩、背中を
触らせ、筋肉の動き、移動状態を見せてくれる。
しかし、教えて貰ってもほとんどそのようには
いかぬ。先生曰く、“練習しているうちにできる
ようになるよ”。まさに、その通り。こんな言葉
がある。「教える人は“下達”はできるが、
“上達”できるかは己の心掛け一つ。」
今、教わり始めてから6年余りになる。修先
生の言動から様々な太極拳の原理・原則を教わ
った。そして今、心掛けていることは、
“とにかく放松、次いで体重移動の後に回転、
立身中正、上体の動きを追わず下体の動きに
注目、外形の基になる内動に注目、速さは追
わず、練習中は出来るだけ先生の後ろについて
筋肉の動きを想像する”である。
数年前になるが、和太鼓集団のDRUM TAOが
テレビの番組でこんなことを言っていた。①早く
打とうとすると、体が硬くなり、“音がにごる”。
②足裏にタコができるような練習をしないと腕と
足が一体にならない。
これまでに、19式、56式競技套路、老架
一路、扇、単剣、単刀、双刀を教えて貰った。
でも、やっていて一番心が落ち着くのは老架
一路。二路も新架も気になる。早く覚えたい
気がするが、野菜づくりと同じ。一度に多く
をやろうとすると中身が薄くなる。慌てず、
焦らず、さらにできれば怠らず、竹園教室で
身につけて行きたいものだ。今、振り返ると、
修先生の下で練習出来て良かったと思っている。